【デビュー後】声優事務所に所属すると何が変わる?同人活動は一切できない?【プロ声優記事】

「早く声優としてデビューしたい!」

 

「でも事務所に入らなきゃデビューはできないから、養成所に行かなきゃ」
「だけど、そもそも、事務所って何をしてくれるところなの?」

 

今回は、声優を目指す上で、きっと誰もが一度は考えたことがある事務所についてのお話です。

声優事務所に入って変わることについてお話ししていきたいと思います。

ちなみに私は声優事務所に所属して、声優として今も活動しています。

 

ただし、事務所にバレると面倒ですので、匿名で執筆させていただいています。

声優の仕事は声優事務所にしか来ない

そもそもなぜ声優事務所に入らなければならないのか、端的に言ってしまえば声優の仕事は声優事務所しか持っていないし入ってこないからです。

人気芸人や俳優が声優として出演しているアニメや洋画など、いくつかの映画はありますが、そういったものは基本的に単発のみ。

継続的に毎週録っていくスタイルの仕事は俳優ではなく声優が行うため、基本的に仕事を振ることができるのは声優事務所だけなんですね。

 
ですから、声優として食べていきたいと考えるのであれば、どこかの声優事務所に所属することは必須条件だといえるでしょう。

そうやって初めて、一般人ではなく「声優」として活動が始められます。

 
ここで少し気をつけてほしいことがあります。

 

これはつまり、きちんとした事務所に『所属』している場合はデビューすることは間違いない、ということです。

準所属や預かり所属扱いであるのに2〜3年いてもデビューできていない、ドラマのエキストラの仕事しかやらせてもらえない、なんていう事務所であれば、少し自分の居場所を考えた方がいい場合もあるかもしれません。

 
近年、残念なことですが気持ちの良い謳い文句で人を集めるような事務所も増えている現実があります。

よくよく注意して事務所選びをしましょう。

自分の「売り方」を考えるようになる

さて、事務所に入った場合の変化はデビューできることだけではありません。

当然ではありますが、事務所から芝居に関するアドバイス、芝居の方向性を示してもらえます。デビューさせるのはあくまでも売り出す過程の第一歩。

 

目的はデビューではなくブレイクする、つまり売れることであるわけですね。

事務所は「自分を売り出すためにはどうしたらよいか」とか「どんな芝居が自分に向いているか」などの自己研鑽の補助をしてくれると考えてよいでしょう。

 
とはいえ、自己研鑽とは自分でやるのが前提ですから、すべてを事務所が教えてくれるわけではありません。

 

自分で考えてトライアンドエラーを繰り返し、マネージャーからアドバイスをもらう。

その繰り返しが、自分を声優として育ててくれると考えておきましょう。

芝居が「ビジネス」だという認識に変わっていく

もう1つ、事務所に所属することでプラスに変わることがあります。

 

それは「芝居=仕事という意識が身につく」という点です。

これはコンビニや居酒屋のようなアルバイトでも、サラリーマンとして仕事をすることでも身につきますから、一社会人としての常識が身につく、と言い換えてもいいでしょう。

>【あわせて読みたい!】会社員やアルバイト時代もあった田村ゆかりさんが声優になるまでの努力

 
しかし、アルバイトとは決定的に違う点があります。

それは「自分が演じたものに対する対価」であり、ビジネスであるということです。

演じた役に対する報酬を得られる、それは逆の言い方をすると、『演じられる役でしか報酬がもらえない』ということ。

 

そのため、事務所に所属した新人は自分の強みと苦手な部分を徹底的に考えます。

 

そうして努力して報酬を得た時に、「自分は声優なんだ」という実感と、演じる役に対する責任が生まれます。

 

ただ楽しく芝居するだけではなく、どうしたらもっと役を引き立てられるか、報酬に見合った、もしくはそれ以上の仕事ができるかという意識が、常に頭の中にできることでしょう。

同人活動に制限がかかる 「プロとアマの境界」

さて、ここまで色々な利点としての変化を挙げてきましたが、そうではない面ももちろんあります。

それは『自主的な活動に制限がかかる』という点です。

 

これは、プロの声優や俳優だけを目指している人であれば関係がないのですが、近年の声優志望者に多く関係することです。

 
最近の声優志望者は、ニコニコ動画の歌い手、ニコ生主、またはコスプレイヤーをやっている、もしくはやりたいと思いながら養成所に通うケースが多いです。

実際、私の周りにもそういった人は何人かいました。

 
こういった同人活動に対し、事務所は基本的には良い顔はしないと思った方が良いです。

 

これは、そちらの活動で売れている人でない限り、後々声優として売れた時の黒歴史化する可能性もあるからであり、その可能性を判断するのが事務所なわけですね。

私の場合「同人活動は禁止だった」

さて、事務所に入った場合の一般的な変化に対しては以上になりますが、私のことに関してもお伝えしたいので、もう少しお付き合い頂けたらと思います。

私自身、同人活動をしたいと考えていた人間でしたので、事務所に相談したこともありました。

しかし、結果はNG。

同人活動はダメだといわれ、3年ほど活動できずにもやもやしていた記憶があります。

 
ただ、許可が降りた時に「あの我慢の期間は無駄ではなかったな」と感じました。

昔の音源と今の音源を聴き比べると、今の方が遥かに上達しています。

そんなのは当然だと言ってしまうと確かにそうです。

 

しかし、上手くなったからこそ良い反応が返ってくるのであって、下手なまま作品を発表してもマイナス評価がくるか、ほとんど反応されないだろうことが予想されます。

 
今思えば、事務所から出たNGは活動自体が禁止というより、自分の力で人前に出ても良い時期をはかっていただけなのかもしれません。

まずは声の演技力を磨いて、来るべき時が来たら(ある程度は)自由にさせてもらえる。

 

そう考えたら事務所が規制するのは、単に禁止しているのではなく、プロとして活動させるために私を悪い評判などから守ってくれているとも考えられますね。(その側面はあります。)

 
そうやって、私では考えも及ばないような部分でも、事務所は私たちを見ていてくれるのです。

新人が売れるために多方面から手助けしてくれて、リスクから守ってくれる

事務所とはそういう場所なのだと、私は所属していて思っています。

 

ただし、声優にセクハラやパワハラをしてきたり、どう考えても変で嫌な事務所であれば辞めることも考えた方が良いでしょう。

しっかりとした事務所であれば、そのようなことは問題となるのでありえません。

ここまでの要点をまとめると?

最後に今回の要点をまとめます。

<1>事務所に入らないといけない理由は、声の演技の仕事は声優事務所にしか来ないから。

<2>芝居は仕事であることの認識が事務所に入ると一気に変わる

<3>事務所に入る目的は、自分を売り出すことにある。事務所任せではダメ。

<4>事務所に入れば基本的に同人活動はできない

 

特に、<3>が重要です。

自分を売り出すために事務所に入るという点ですが、自分で自分をプロデュースすることになるため、事務所に入ればOKとか、あとは事務所がやってくれると思ったら大間違いです。

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事務所に在籍する社員の人数は限られているので、預り所属を含めて何万人以上もいる声優を全員プロデュースするなど不可能です。

 

おのずと結果がすぐに出そうな人、事務所のフックに引っかかる人など、プロデュースされる人は決まってきます。

筆者の情報

ハンドルネーム:エム

職業:声優(某事務所所属)

 

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