さまざまな声優事務所の所属オーディションを受けて、晴れて「預かり所属」になりました。とても嬉しいですよね!今までの自分の努力は無駄じゃなかったのです。
しかし「預かり」所属とは、普通の所属と何が違うのでしょうか?今回はなかなかシビアな立ち位置にある「預かり所属」について説明します。
預かり所属とは?
事務所の所属オーディションに合格した人は、まず「預かり」という形で所属になります。
預かりとは「仮の所属」という意味で、見習い期間のこと。あくまで見習いであり、正式な所属ではありません。
そのため、所属出来る期間が設けられています。大体長くても3年で、結果が出せていない人に対しては1年で打ち切る事務所もあります。
ぞして預かり所属になった後も、事務所がおこなっているレッスンに参加しなければいけません。もちろん有料です。
費用は事務所によりますが、週1回3時間で月¥20000~40000くらい。
強制ではないのですが、事務所のレッスンは大体マネージャーや所属声優が講師を担当している時が多いため、「自分をアピールする場」として受ける人がほとんどです。
また所属した際、入所金として¥50000~¥100000かかる事務所もあるんですよ。
預かり所属と正所属の違いとは?
預かり所属の他に必ずあるのが、「正所属」です。
正所属は文字通り「正式な所属」なので、期間も特に設けられておらず、事務所から信頼されて保障を受けている形になります。
ではこの「保障」とは、一体何でしょうか?それはオーディションや仕事の数のことです。
クライアントからオーディションや仕事の話があった場合、事務所はまず正所属の声優に話を振ります。
現場慣れしている、もしくは技術的に上手い人の方が、オーディションに合格しやすいのは当たり前ですからね。
事務所も下手な声優を現場に出すとクライアントとの信頼関係に傷が付くので、どうしても正所属に目が行ってしまうのです。
では預かり所属の場合はどうなのかというと、保障や信頼がないので、まず仕事は来ません。
大きい事務所の場合、そもそもマネージャーに自分の顔と名前を覚えてもらえていません。
覚えてもらえていないので、オーディションすら来ることもほとんどないんです。預かり所属と正所属は正に「雲泥の差」なのです!
新人声優に仕事はまず来ない!仕事がない場合、生活は…?
「声優事務所に所属出来たぞ!これから華々しい声優人生がスタートするんだ!」
こんなお花畑状態なのも束の間、所属オーディションに合格後、すぐ現実を知ることになるでしょう。
自分が本当に声優なのか疑わしくなる程、仕事がありません。声優の仕事がない場合、大体の人はアルバイトで生活します。
「フリーターのような生活で複雑な気持ちだけど、なんとか生活はやっていけるし…」と思っているかもしれませんが、残念ながら生活も安定しません。
「声優志望者」ではなく、「マネージメント対象の預かり所属」のため、いつオーディションや仕事は舞い込んでくるか分からないのです。
スケジュール決定のお知らせは、早くても1週間前。オーディションの場合、前日に急遽入ることも珍しくありません。
せっかく貴重な仕事やオーディションが自分に来たとしても、アルバイトを理由に断るなんて、本末転倒です。
アルバイトの日に仕事が入った時に「代わりのアルバイトを探さなきゃ」「見つからなくて休んでしまい職場に迷惑かけてしまった…」なんてことも声優にはあるあるで、何も珍しくありません。
こうなると、バイト先の職場からの信頼も下がりますし、収入も減ってしまうので、単発のアルバイトで時間の融通が利くようにする人もいます。
預かり所属になった後に目指すこと!
預かり所属になった後に目指すことは、「正所属になること」です!正所属になれば、仕事に行けるチャンスや可能性が広がります。
そのためには、マネージャーに自分の存在を知ってもらうことから始めましょう。
多少嫌な顔をされても、事務所に立ち寄っていっぱい話しかけたり差し入れを持ってきたりと、とにかくアピールすることです。
「ちょっとうっとおしくないかな…」と不安になるかもしれませんが、声優業界はこういう図々しい人ほど活躍できる場所でもあります。
マネージャー側からしたら、「うるさいけど、何があっても打たれ強そうだな」と意外な高評価が貰えたりします。
預かり所属に特別な技術は望んでいません。「いかに場の空気を良い雰囲気に変えられるか、監督や共演者から好印象を貰えやすいか」など人柄を見ているのです。
もちろん滑舌や発声などの基礎は出来て当たり前ですが、正所属になるためにいかに自分を良く見せられるのか、一度研究してみてください。
まとめ
いかがでしたか?
預かり所属になったからといって、決してあなたが思う理想の声優像に簡単にはなれません。
「事務所に猛アピールする」という声優の技術以外の苦労も必要になってきます。
でも弱気にならないでください。私たちは事務所とご縁があって「声優」になれたのは事実です。少なからずあなたに期待しています。
大変苦しいとは思いますが、やることをやって「理想の声優像」を目指して頑張っていってください!