声優オーディションに向けて「声の感情表現」を鍛える方法

声優オーディションで絶対に無いと受からないものって何かわかりますか?

でも、オーディションで受かりやすい話は今回は置いておき、もっと根本的に重要だと感じている部分について話します。

声優オーディションでないとまず無理なものが、3つあります。

【1】独特の声質

説明不要な部分だと思います。声優といえば声ですからね。ドラゴンボールの孫悟空役の野沢雅子さんや、ワンピースのルフィー役、田中真弓さんなどは、一度聞いたら忘れられない独特の声質ですよね。

【2】アイドル性やギャグセンスなどの声以外の素質

声の演技だけうまくても、それ以外で秀でたものがないと現代の声優はなかなか勤まりません。その理由はビジネスのためです。

>【この部分の答え】なぜブサイクは声優になれないのか?

例えば、水樹奈々さんは紅白に出るほど歌姫としての素質が抜群にありますよね。

 

では、生まれ持った声質や声の演技以外の素質がない人は声優にはなれないのでしょうか?

その答えとして、「感情の表現」が上手い人は、声に独特の特徴がなくても生き残れる確率があります。

 

それが3つ目の「感情表現が上手い人」です。

 

声に独特な特徴も持った声優さんももちろん表現が上手なため、見分けるのは難しいですが、アニメや洋画など幅広く出演している声優さんは総じて、声で感情の表現をするのが特に上手いです。

 

洋画は人間の吹き替えをしているわけですから、アニメのように声に特徴がありすぎると逆に違和感になります。

普通っぽい声なのに、吹き替え映画を見て泣いてしまった。そんな経験があるのではないでしょうか?

 

それが、声は普通なのに感情の表現が上手い声優さんに当たります。

俳優さんや女優さんがゲスト出演で声を当てている場合、演技が下手で感情がこもっていないように感じられて感動が薄れることもあるはずです。

 

主人公と演じている演者の気持ちが同化し、「一緒に怒り」「一緒に笑い」「一緒に泣ける」感性が共通してあります。

 

・「自分には、独特の良い声がない」

・「アイドル性も等にない」

と悩んでいるとしたら、感情表現をより豊かにする方向へ、ベクトルを向けるべきです。

感情の表現を鍛える方法とは?

では、その声で感情の表現を豊かにするためにはどうすればいいのでしょうか?

答えは「人間の観察」を行うことです。

それも、人の感情が動いているシーンをしっかりと注意深く観察することです。

 

とは言っても、例えがないと分かりにくいと思いますので、感情表現の鍛え方をいくつか紹介していきます。

 

・子供の絵本の個性的な朗読

筆者も行なっていることですが、子供の絵本の読み聞かせボランティアというものがあります。(またはバイト)

子供の絵本は難しいことが書いておらず、キャララクターのバックボーンも特に設定がないことがほとんどです。

そんな単純な本での朗読は感情の表現力を試されます。

 

あなたの見てきたものや経験してきたことから、キャラクターを彩るため声の表現としても練習の場となるわけです。

面白ければ、子供は笑ってくれるし、感動する場面なら子供達は真剣になって物語を読んでいるあなたに視線が向きます。

 

子供が何を思っているのか?自分が読んだ話で何を感じ取ったのか?

子供の素直な反応は感情の観察には最適です。

声優志望者にとって子供の絵本の読み聞かせには3つのメリットが存在します。

・「2階」or「3階」にあるカフェの窓側席から人間観察

歩道や交差点を見渡せる立地にある2階か3階のカフェの窓側の席に座ります。そこから、歩いている人を眺めて観察してください。

 

その人たちは何を思っていると思いますか?

「スマホを眺めながら、アプリゲームのことを考えているかもしれない」

「彼女と喧嘩したことで、悩んでいるかもしれない」

「学生なら、学校についてから宿題を友達に見せてもらおうか考えているかもしれない」

色々と想像できますが、できるだけその人の表情や見た目、服装や髪型、肌の色から推理します。

与えられた情報から、その人物が何を思っているのかを考える工程は声優になれば日常茶飯事です。少ない情報から感情を読み取る訓練としてこれ以上のものはありません。

・無料でやっている演劇を観にいく

世の中には無料でやっている演劇があります。

特に高校生などの演劇部の発表会は無料で見ることが可能です。

 

プロでない分、その演技を分解しやすく、表情も読み取りやすいため、高校生がそのシーンでどう思っているのかを学ぶことが可能です。高校生たちがなぜそのテーマを選んだのかも考えるようにしましょう。

・クレーンゲームで挑戦している人を見る。

クレーンゲームなんかで何を学べるのか?あまり馴染みがないですよね?

ウレーンゲームからは、なるべく景品が取れないで苦しんでいる人を観察してみてください。

それって苦しんでいる姿ってこと?と疑問に思うかもしれません。

まぁ、その通りなのですが、性格が悪いことをしていると乗り気にならなくても観察する価値がそこにはあります。

実は、何かに悪戦苦闘している人を観察できる機会ってそうそうありません。

 

悪戦苦闘している人を観察して、敵と戦っている感情を学んでください。アニメだと良くありますよね?
演技のためと思ってゲームセンターに足を運んでください。

・芸人を見る(出来ればリアルで)

芸人がやっている舞台はとても参考になります。

芸人がボケているシーンは、天然さのアピールをしている表情でもあります。

 

さらに、ツッコミ役の芸人に対してボケ役の芸人はバカにしたような表情をとる時がありますよね?

例えば、サンドウィッチマンの「ちょっと何言ってるのかわからないです。」などがそれです。

小馬鹿にした感情とその表情を観察する機会にすることが可能で、人を小馬鹿にする人間が近くにいない場合は研究材料として適しています。

 

さらにできれば、リアルせ見た方が良い理由は、それを見た観客の反応がリアルタイムで観察できるからです。

ブルーレイや動画では、ただの笑い声のSEの可能性も捨てきれず、疑わず生の反応を見ることは不可能で、リアルの特権です。

・映画を見終わった後、席に残って観客の声を聞く

映画で感傷に浸っている、余韻を楽しんでいる人を観察することができます。

アニメでもありますよね?映画見終わったシーンや友達と何かの感想を話しているシーン。
あれの心情だとどういう表情になるのか?の参考にもなるわけです。

・競馬で叫んでいる人を観察する

競馬でなくとも構いません。

ギャンブルをしていて、叫ぶほど怒りをあらわにしている人は文字通り「怒りの感情」を学ぶ上で参考になります。

怒りって普段の生活ではなかなか見ることができません。

・カフェの隣の席の人達の会話を聞く

カフェでコーヒーを飲んで休んでいる時、隣や近くの席の人の会話が聞こえてくることって良くありますよね?

その会話は何気ない食事の話から、ママ友なら息子娘の話など様々です。

 

でも、その会話は人のナチュラルさを買います見ることのできるタイミングでもあるわけです。

そういったカフェの場で偽りの自分で、偽りの感情で嘘ばかり話しているチグハグな状況はほとんどありません。

素直な自然体な会話をする感情を学ぶ上で、これ以上ない場所です。

・お墓でお墓参りしてる人を観察する

悲しみの感情の理解に役立ちます。

人ってお墓の前で豪快に泣くことはそうそうないです。けど悲しんでいる。
その絶妙な気持ちを表情から学ぶことができます。

 

人の感情をもっと理解すること

声で表現をする為には「技術」はもちろん必要です。

けれど、それと合わせて、たくさんの経験を積みながら、自分はどんな感情を抱いているのか?をたくさん味わい記録する必要があります。

身近なことでも沢山ありますよ。

<1>友達と喧嘩する

<2>親と進路について言い争いになる。

<3>仲の良い親友と絶縁する

<4>好きな人に振られる

<5>彼氏・彼女と恋愛を楽しむ

<6>ちょっとしたことで嫌いな人をもっと嫌いになる

 

このように身近なことでも、感情が動く場面は多くあるわけで、勉強の機会は多いです。

声で表現されたもので心が動かされるのは、何か共感することがあるからこそですが、表現者が何かを伝えようとする時、独りよがりだと、演技の想いはほとんど伝わりません。

 

多くの経験をして、その経験を通して、人は何を感じ、何を考え、どんな感情を表すのかを自分で一度は体験するかしっかりと観察しておかないと、その感情を声で表す際に、相当な想像力を持ってなければ対処できません。

これでは才能頼みになってしまいます。

 

その想像力すら、経験の裏づけがあるからこそ湧いてくるもので、そうでないものは単なる山勘で、山勘で表現したものが伝わるのかと言うと難しい話になりますよね?

「なんとなく」では、オーディションに落ちる

 
私も子どもの頃からの夢が「声優」でした。

大人になっても捨てきれず養成所に入り、数年間、声の演技を学びましたが、いまいち養成所との相性が悪かったり、自分が努力を諦めてしまったことから、声優になることは残念ながらできませんでした。

 
養成所に入った時も、何も分かっていなかった素人だったので、物語に出てくる登場人物達の感情などは、「何となくこれでいいだろうー」と山勘でやっていました。

 

それも、来てくれる人が分かりやすいように、何となく思うところを大げさに表現してる形だけ取り繕っているもの。

「どうだ!悲しそうでしょ?」

「これで楽しんでそうだろう?」

のような私の感情の押し付けがましい演技しか見せられていなかったように思います。

そのため、オーディションでも落ちまくりました。

本当は、もっと「悲しい時にはどんなことを思ってどう行動をするのか?」

そんな事を自分の経験から拾い集め、何気ないところから「かもし出るような表現」をできるようにならないと聴き手には大きく伝わらなかったのです。

 
今は、声優の夢は諦め会社員として働いていますが、朗読会にはたまに参加しますし、人間観察を日頃からやっています。

登場人物の心情をまずは丁寧に読み取るところを入念にするようになりました。

 

自分の経験と照らし合わせ、できるだけ深く細かいところまで考えをめぐらせる。

この繊細な作業には、やはり人を良く観察する工程が必須であると今は痛いほど理解できます。

感情表現を鍛える一覧

最後に、感情経験を増やして感情の表現を向上させる上で、役に立つ方法をまとめておきます。

 

・子供の絵本の個性的な朗読

・2階or3階にあるカフェの窓側席から人間観察

・無料でやっている演劇を観にいく

・クレーンゲームで挑戦している人を見る。

・芸人を見る。出来ればリアルで。

・映画を見終わった後、席に残って観客の声を聞く

・競馬で叫んでいる人を観察する

・カフェの隣の席の人達の会話を聞く

・お墓でお墓参りしてる人を観察する

 

このようなトラブルは声優になった時、ネタの元になり、感情表現の鍛えるチャンスでもあります。
何かトラブルがあったらすかさず日記やスマホのメモアプリにメモする癖をつけましょう。

 

メモする時のコツは、

<1>どういったトラブルなのか?状況を書く
<2>そうなる前に感じていた自分の感情
<3>それを味わって感じた自分の感情

この3つを記すことです。
2番と3番は後に読んだ時に重要になるので忘れず記入しましょう。

 

のちのちこの出来事をメモで読んだ時に新たに自分が感じた感情も書き留めます。
その出来事と感情を振り返ることで客観視した視点も加えることができる利点があります。

 

そういえば、今、あなたが声優を目指している道ですが、どこにいるのか?

自分が歩いている道筋を客観的に知ることも意味がありますよ。

>【合わせて読みたい1】学生や会社員から声優になるための流れをまとめた一覧。客観視するために。

筆者の情報

ハンドルネーム:はりた

職業:会社員(養成所選びで失敗して声優になることができなかった経験を持つ。しかし、演技面では2年以上の練習をやり抜いている。)

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