「声優」って聞くと、声を出す仕事だから筋肉を鍛えたりする必要はないんじゃないの?と考えがちです。
でも事実は全く逆で「体を鍛えておかないと全く演技が出来ない仕事」であることを理解してください。
声優が使うのは声ですが、「声のみ」で様々な表現をしなければならないためです。
なぜなら声だけで表現するのには、筋肉を多量に使用します。
私が声優を採用する場に関係する立場だったこともあり、筋肉を鍛える重要性は理解しておいて欲しいと思って書いてます。鍛えないと明らかに損します。
例えば、収録現場に出れば普段使わないような高い音域や低い音域で発声したり、大きな声を出したり、日常生活ではありえないくらい長い文章を一息で発声したり、むちゃくちゃ早口で話したり等……。
非日常の領域の声をださなければならない場面が非常に多くあります。
そう言った声を出すときには、お腹周りの筋肉(腹式呼吸)や多くの息を吸い込めるように胸や背中の筋肉(肺活量)が必要になります。
体が脆弱では、肺活量も弱く、腹式呼吸も上手くできないので、必然的に声の表現力が狭くなり声優としては使えないという評価をくだされるすらがあります。
養成所や専門学校に入ろうが、声優になるためには必要な筋肉なので、もう今日から鍛えてください。
声優志望者が鍛えるべき点は3点あります。
<1>腹筋
<2>声帯
<3>筋持久力
この3点は今日から鍛えてください。今から説明していきます。
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まずは「腹筋」を鍛えよう
声を出すとき、実は様々な筋肉を使っています。1つ目は「腹筋」です。
肺に多くの息を取り入れたければ、横隔膜を大きく引き下げる必要があります。
この横隔膜は、お腹についている「腹直筋」や「広背筋」を動かすことによって伸びたり縮んだりします。
腹筋が弱い人というのは、この腹直筋の筋繊維自体が小さく少し伸ばすと切れやすい性質になっています。
よって伸縮力があまりありません。
なので可動範囲も狭く筋力そのものも弱いです。
強い人はどうなっているかというと、筋繊維が太く、ちょっとした伸び方では切れないので可動範囲が広く、筋力も強いです。
つまり腹筋が弱い人は、この腹筋が伸び縮みする範囲が狭くなり大角膜を大きく広げられません。逆に腹筋が強いと、可動範囲が広く引っ張る強さも大きくなるので、大角膜を広げることができます。
では、声優志望者は、どのような方法でトレーニングすればいいか?
それは、地面に仰向けに寝そべり、両脚を伸ばして上下させる「脚挙げ腹筋」という方法が伸縮力を上げる意味では効果的です。
一般的な腹筋の方法より、腹直筋が大きく伸び縮みするので効果的に鍛えられます。
広背筋を鍛えよう
横隔膜は広背筋を動かすことによっても伸び縮みするようにできています。分かりにくい人は、実際にやってみて欲しいのですが、お腹を膨らませたとき、腹直筋は伸び、広背筋は縮みます。
この時、横隔膜は広がっています。息を吐いてお腹を萎ませたとき、腹直筋は縮み、広背筋は伸びます。
この時、横隔膜も縮みます。このように体はできています。
つまり、腹直筋と広背筋は表裏一体の関係にあると思ってください。
なので、腹筋だけを鍛えるだけでは声優志望者にとって無意味で、腹筋を強くするためには広背筋も強くしなければ出せる声のバリエーションは増えません。
この広背筋を鍛える方法は、地面にうつぶせに寝そべり、上半身を反るように挙げて下ろす。
という方法が簡単です。
声帯を鍛えよう
もう一つ重要なのは声帯です。
ご存知だとは思いますが、声帯を動かすことによって私たちは声を出しています。この声帯も、声帯自体が動いているのではなく、その周りの筋肉を動かすことによって伸び縮みしています。
この周りの筋肉を鍛えるためには声を出すしかありません。
ただ、重要なことを意識しないで、がむしゃらに声を出し続けているだけでは、声帯周りの筋肉は日常で使っている範囲しか動くことはないので、日常会話が気持ち早くなる程度で、あまり鍛えられません。
では、どのような方法で鍛えれば効果的に筋肉を鍛えられるのでしょうか?
それは「ファルセット(裏声)を出す」という点です。
裏声を出す時、声帯を引っ張るためにその周りの筋肉は日常的な会話以上に大きく動きます。
筋肉が日常より大きく動くので、ファルセットは非常に良い筋トレになるのです。
筋持久力が必要な理由
筋持久力とは何かというと、筋肉をつかって同じ力を持続して出す力のことです。
スタミナ(体力)のことだと思ってもらってもかまいません。
声優のお仕事では、長いセリフや長い文章を話す場面が多くあります。
これはなぜか?TVアニメをたとえにして考えてみましょう。
TVアニメは基本的に1話分を制作するのに1週間の期間があります。
声優さんに声を入れてもらう日数や音楽やBGMを入れる日数は少なくとも2日は必要で、他にもチェックなどの作業もあるので、アニメーションの絵を描く作業は実質3日あるかないかで仕上げなければなりません。
よって、会話のシーンなどではあまり無駄にキャラクターを動かして、絵を沢山描かないようにするのが普通です。
つまり、実写と比較してアニメの場合は同じキャラクターが画面に出てセリフを喋っている時間が長くなる傾向にあります。
いわゆるキャラクターの口元だけパクパク動いているようなシーンです。よく見ますよね?
それでアニメのキャラクターは良く観る目と口とが動くだけの長いセリフを喋るシーンになります。
特に推理系の作品系(名探偵コナン)や、つっこみの多いギャグ作品系(銀魂)、能力の解説が多い超能力バトル作品系(ハンターハンター)など・・・。
これらは作品に採用されるかどうかも長いセリフが言い切れるか?は、相応の肺活量が必要になってきます。
他にも、別に特別性セリフ長くなくとも出番の多いキャラクターを演じるときにも持久力は必要になるわけです。
>【関連記事】持久力を鍛えるのにもってこいな声優志望者がやるべきアルバイト一覧
筋持久力の鍛え方
この筋持久力は、とにかく回数を多くこなすことによってついてきます。
マラソンランナーを目指す人が徐々に走る距離を伸ばすように、筋トレのときに回数を増やすように鍛えるのです。
声優を目指すのであれば、
<1>腹筋トレーニング100回
<2>背筋トレーニング100回
<3>ファルセットトレーニング10分。
コレを毎日難なくこなせるレベルを目標にやってみてください。
これがクリアできたら、プラス10回などの回数を追加していくようにするのです。もちろんサボらないように毎日ですよ。
この訓練を日常的に行える慣れが付いてきたら、声を介した作業を行える肉体になっています。ここから演技力を鍛えるスタート地点に立ったこととなるわけです。
では、この記事を読んでいる今からはじめてください。
「後でいいでしょ。」では忘れてやらなくなります。せめて、このページをブックマークかスマホのホーム画面に設置して、毎日目に入る位置に配置して訓練するように意識付けてください。
こういった訓練の重要なことは継続です。大の大人でも飽きずに継続することは至難です。
逆に言えば、継続できればそれだけで飽きてやめてしまった人よりも先に進んでいることになり、それは演技を練習するときも自信に繋がります。
体調が悪い時は、
<1>腹筋トレーニング40回
<2>背筋トレーニング40回
<3>ファルセットトレーニング5分。
と半分にしてでも、継続するようにしましょう。
また、1日100回とは言っていますが、朝50回、夜50回、ファルセット朝=5分、夜5分と分けて行うことも有効です。
以上を参考に毎日トレーニングを実践していってください。
筆者の情報
ハンドネーム:雑賀
職業:声優の採用に関わっていた経験あり
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