声優になるため?同期メンバー以上に練習してきた声優に必要な力4つ【プロ声優の体験記事】

私は、養成所に入った段階では初心者でした。

初心者の私でも早い段階でデビューできましたし、経験者でデビューまですごく時間がかかった人もいました。

良く養成所か専門学校かどちらに入るべきか悩む方もいますが、それ以上に努力するべきポイントは他にあります。

 
今考えると、デビューできた人とできない人では、何となく差があります。

精一杯やることも1つの努力ではありますが、それだけでは声優にはなれません。

 
みんなと同じことが出来るようになるのは当然で、周りと違うことができるようになることが必須です。

今回は、私が同期よりも練習で頑張った声優になるために必要な力を4つお伝えしたいと思います。

【1つ目】読解力 「丁寧に読み解く力」

私がプロの声優になるために1番に身につけようとしたのは、「読解力」です。

ここでいう読解力というのは、セリフを読んで、相手にきちんと意味を伝えることができる力、という意味での読解力のことです。

 

プロ声優として現場で収録するからには、なんとなく言葉(いわゆるセリフ)の意味がわかる、ではなく、相手にわからせることが出来るくらいの理解力が必要になります

 
この読解力を鍛えるためにやったのは、文章中で伝えるべき言葉がどの部分なのか、セリフ、地の文全てで考えることです。そして伝えたい部分に線を引き、そこを強調して読みます。

 

そうすると、強調した部分が浮きすぎる場合があるので、周りの言葉で伝えなければならないことはないか探します。

もしあれば、そちらにも線を引き、どちらも丁寧に読むようにしました。

 
例えば、「赤い本は母が持っていた」であれば立てたい言葉が「赤い」「本」「母」「持って」のどれなのかによって、読み方が変わります。

 

前後の文章から読み取って、立てるべき場所はどこなのか考える。これを、薄い冊子程度で構いませんから『最後まで』やりきります。

 
なんなら、今こうして読んでいる短い記事を最後まで読み解く、そのくらいの量で充分です。新人は雰囲気で読みがちなので、そういう丁寧な作業こそ必要だと感じたのです。

 
実際、そういう作業を繰り返しやっていたことが今になってナレーションや朗読に生かされていると思いますし、ナレーションが苦手と言っている同期の人は、読み込みが甘い人が多いように感じます。

>【関連記事】声優になるためには台本を読み解く読解力が必要なの知ってる?

【2つ目】初見力 「1発で決める力」

プロ声優になるために、次に努力したのは、初めての文章でも読むことができる力、いわゆる初見力です。

 

これは一朝一夕で出来ることではないのですが、パッと見て1発で成功させるための訓練をしました。

 
ありがちと思われるかもしれませんが、私の場合は新聞のコラムをよく読んでいました。天声人語とか編集手帳とか、そういう部分です。当時、私は新聞は取っていなかったのですが、そのためだけに3ヶ月ほど新聞を取ったりもしました。

その他に手軽に出来るのは、電車内の広告をナレーション風に読んでみることです。メモに書き写しても、その場でぼそぼそ口に出しても良いと思います。

 
変な目で見られても大丈夫です。明日以降はその人ともどうせ会いません。細かいことは気にせずに、自分の力を高めましょう。

お気付きの方もいるかもしれませんが、実はこの訓練、1つ目の読解力がついてないと、そもそも意味がないのです。あまり考えずにただ読んでしまうと、それっぽい、上辺だけの言葉になってしまいます。

 
1つ1つの言葉を大切に、でも1発で読み解く。

 

ナレーションやボイスオーバーの現場では原稿をその場で渡されることのほうが多いですから、そういった力をつけておくことは必須だと言えるでしょう。

【3つ目】瞬発力 「柔軟に対応する力」

プロ声優になるために同期以上に努力したポイント3つ目は「瞬発力」です。

 

すぐにやってのける力という意味で初見力とごちゃ混ぜにしやすいのですが、少し違います。

ここでいう瞬発力というのは、『ディレクターが求める芝居に、その場ですぐ対応する力』のことなんです。

 
例えば、自分が「このセリフは少年だ!」と思って声に出してみたら「あ、芝居はすごく良いので、その方向のまま年齢をあと5つ上げてください」なんてことを言われることはかなり多いです。

 

「イラストはこの見た目なんだけど、色っぽいお姉さんでやってもらえる?」なんて場合もあります。

 
そんな時に必要なのが、瞬発力。

そのためには、「このキャラはこういう感じだ!」と完全に決めつけるのではなく、いくつかのパターンを用意する必要があるわけです。

 
この瞬発力を鍛えるためにやれるのは、セリフをいくつか用意して、誰かに「○○な感じでやって」と指示出しをしてもらうことです。

何度も繰り返して何度も修正することで多様なパターンに対応できる力が身につくと思います。

【4つ目】貪欲さ 「最も必要な力」

プロ声優になるために最後に必要なのが、なによりも「貪欲さ」です。

これがとにかく必要で、逆に最も失いやすい力だと思います。

 
貪欲さが必要というのは、何も精神論だけで言っているわけではありません

養成所時代に特に感じていましたが、がっついている人ほど飲み込みが早い印象を受けました。

 

実際、ぼくと一緒に現場にいた人の大半は、クラスで積極的に自己発信できている人が多かったですし、今周りにいる声優仲間もそうです。

この貪欲さが、声優として必須スキルである『自分を売り込む力』にもつながっているのだと思います。

 

貪欲さとは情報を得たり、自分を売り込む際の原動力になり得るわけです。

ぼくも今でも貪欲さは意識して失わないように心がけています。

これらを踏まえて声優に必要なこと

さて、ここまで私が頑張ったこと、特に力を入れたことについて書いてきましたが、これだけをやれば声優としてデビューできるというわけではありません。

何が自分に足りていないのか自己分析して、各々に合った努力が必要になります。私の場合は今回挙げた4つであった、というだけなんです。

 

もちろん、これらが自分も足りていないなと感じる人はぜひやってみて下さい。

 

ただ、それ以外にも自分に足りていないのか部分はないか、周りに負けているところはないのか、そうやって常に自分を高めていくことで、いつかデビューするチャンスがきたら掴めるのではないでしょうか。

 

私が声優になるまでの経験が、少しでもデビューを目指す皆さんの参考になったら嬉しいなと思います。